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【解決事例】行方不明の相続人が判明|不在者財産管理人申立を活用し全員合意に至ったケース

本件は、依頼者の姉が亡くなり、相続人の一人(甥)が連絡不通となったものの、不在者財産管理人の申立を経て相続手続きを進め、最終的に全員の合意によって遺産分割を完了した事例です。
法的制度を戦略的に用いることで、不安定な状況もしっかり収束させることができました。
🔍 依頼者の状況
- 依頼者:佐藤悦子さん(仮名)/60代女性
- 被相続人(姉):佐藤美沙さん(仮名)
- 相続人:妹1名および甥姪11名(うち1名が行方不明)
- 主な争点:相続人の所在確認・不在者財産管理人申立・遺産分割協議
佐藤悦子さんの姉・美沙さんが亡くなり、預金・株式・不動産を含む遺産の相続が発生しました。
10名の甥姪とは連絡がつき協力的だったものの、甥の一人である山田五郎さん(仮名)だけが連絡不能で、所在も不明のままでした。
⚖ 当事務所の対応
① 相続人の所在確認調査
まず、戸籍と住民票を追い、五郎さんの最終的な住所を突き止めました。
しかし、現住所へ手紙を送るも五郎さんからの返答は得られませんでした。
現地の調査も行いましたが、現住所に居住している様子が窺えず、行方不明の状態が続きました。
② 不在者財産管理人の申立準備
本件では遺産に不動産が含まれるため、行方不明の相続人がいる状況で相続手続を進めるためには不在者財産管理人(=相続人が不在の状態で遺産管理・分配を補佐する第三者)を選任する必要がありました。
そこで、必要な書類を準備し、家庭裁判所に対し不在者財産管理人の選任を申立てました。
③ 裁判所による調査と甥の所在判明
不在者財産管理人の選任手続の中で、裁判所による五郎さんの居所調査が行われました。
裁判所から職業安定所や警察機関に照会を行った結果、五郎さんの勤務先が判明しました。
その結果、五郎さん本人から連絡があり、所在と事情が確認されました。
④ 遺産分割協議と手続き完了
五郎さんとの話し合いの結果、五郎さんからも相続分通りで相続する合意が得られたため、不在者財産管理人選任申立を取り下げ、全相続人による遺産分割協議書を作成しました。
その後、預金解約・株式の現金化を含む一連の手続きを当事務所が代行し、相続分通りに遺産を配分して無事手続が完了しました。
💡 解決結果|相続人全員の合意により遺産分割が成立
行方不明の相続人がいる状態でも、制度を正しく使うことで相続手続を前に進め、無事遺産分割を成立させることができました。
また、遺産分割協議書作成から換価・配分まで弁護士に一貫してお任せ頂くことで、手続の負担を軽減することができました。
💬 弁護士からのアドバイス
相続人の中に行方不明者が含まれる場合でも、不在者財産管理人制度を活用することで手続きを前進させることができます。
不在者財産管理人は、行方不明者に不利とならない遺産分割案を策定し、財産目録を作成した上で裁判所の許可を得て協議に参加します。これにより、行方不明者の法定相続分は確保されつつ、相続手続きを円滑に進めることができます。
本件では、不在者財産管理人の手続の過程で本人の居所が判明したため、不在者財産管理人の選任を待つことなく、よりスムーズに話が進めることができました。
📞 このような方はぜひご相談ください
- 相続人の一人が連絡つかず所在不明の方
- 相続人が多く、全員の同意が得にくい状況の方
- 遺産分割協議書の作成や換価手続に不安がある方
- 法的手段を使ってでも相続を速やかに進めたい方
当事務所では、相続に関する初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。
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