相続手続きは、相続人全員が揃って協力し合える状況でさえ、非常に複雑です。しかし、中には「他の相続人と連絡が取れない」「相続人が海外に住んでいる」「そもそも相続人が誰もいない」といった、さらに困難な状況に直面するケースがあります。
これらのケースは、一般的な相続手続きの知識だけでは対応が難しく、法的な専門知識と適切な手続きが不可欠です。放置すれば、財産が塩漬け状態になったり、意図しない結末を迎えたりする可能性があります。
この記事では、こうした相続手続きを進めるのが困難なケースに直面した方のために、それぞれの状況に応じた解決策の全体像を解説します。
このページの目次
ケース1:相続人が行方不明または音信不通の場合
相続人の一人が長年疎遠にしており、どこに住んでいるか全く分からない。または連絡をしても返事がなく音信不通の状態にある。
遺産分割協議は相続人全員の参加が必須のため、一人でも行方不明・音信不通の者がいると手続きは完全に停止します。
この状況を打開するには、まず戸籍等の調査により住民票上の住所を調査します。
それでも所在が分からない、あるいは連絡しても完全に無視される場合、状況に応じて家庭裁判所で「遺産分割調停」「不在者財産管理人の選任」「失踪宣告」といった手続きを行う必要があります。
【詳しくはこちら】
連絡が取れない相続人がいる場合の全手順|住所調査から法的手続まで
ケース2:海外に在住している相続人がいる場合
海外に住んでいる相続人と遺産分割の話がまとまったが、その国では住民票や印鑑登録証明書の制度がないため、日本の手続きで必要な書類が揃わない。
相続人の一人が海外に住んでいる場合、日本の手続きで必要となる書類の準備が大きな壁となります。
この場合、大使館や領事館で「署名証明書」「在留証明書」といった代替となる書類を発行して貰う必要があります。
【詳しくはこちら】
海外在住の相続人がいる場合の相続手続き|書類準備から遺産分割調停まで
ケース3:相続人が一人もいない(相続人不存在)の場合
内縁の配偶者が亡くなったが、遺言を遺すことなく亡くなってしまった。子もおらず、親や兄弟も亡くなっているため、相続人が一人もいない。
相続人がいない場合、内縁の配偶者や長年介護を続けた親族など、被相続人と特別な関係があった人は、「特別縁故者」として財産を受け取れる可能性があります。
特別縁故者として認めてもらうためには、家庭裁判所に対して「特別縁故者への財産分与の申立て」を行う必要があります。
【詳しくはこちら】相続人ではない方が遺産を受け取るには|特別縁故者制度の要件と流れ
困難な相続ケースを弁護士に相談するメリット
ここまでご紹介したシナリオは、いずれも家庭裁判所での専門的な手続きを伴うか、海外の機関とのやり取りが必要となるなど、個人で対応するには非常にハードルが高いものばかりです。
専門家である弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 最適な解決策の提案
あなたの状況を法的な観点から分析し、どのような法的手続を選択すべきかなど、最も有利かつ現実的な解決策を提案します 。 - 正確な調査と手続きの遂行
職務上の権限を用いて戸籍等を正確に調査し、複雑な裁判所への申立て手続きをあなたに代わって迅速かつ的確に行います 。 - 精神的・時間的負担の軽減
慣れない手続きや連絡の取れない相手へのアプローチといった、多大なストレスと時間のかかる作業から解放されます 。
複雑な問題こそ、専門家への早期相談を
相続人に関する困難な問題は、放置しても解決することはありません。むしろ、時間が経つほど関係者が増えたり、財産の状況が変化したりして、解決はより一層難しくなります。
「自分のケースは特殊だから…」と諦める前に、まずは法律の専門家にご相談ください。どのような複雑な状況であっても、法律には解決への道筋が用意されています。
当事務所では、相続問題に関する初回のご相談は無料で承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。