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【解決事例】異父兄の相続で戸籍に不備|失踪宣告により単独相続を実現したケース

本件は、兄の相続人は自分だけだと思っていた依頼者が、兄と異父兄弟であり他の相続人が存在する可能性があることが判明し、最終的に失踪宣告を通じて単独相続を実現した事例です。
複雑な事情でも、弁護士が法的手段を駆使し、依頼者にとって納得できる形で解決に導くことができました。
🔍 依頼者の状況
- 依頼者:鈴木春子さん(仮名)/80代女性
- 被相続人(兄):鈴木健一さん(仮名)
- 問題となった第三者(兄の父):鈴木一郎さん(仮名)
- 主な争点:相続人の確定・戸籍不備・失踪宣告手続
鈴木春子さんは、長年兄・健一さんと二人暮らしをし、介護も行ってきました。
健一さんからは「財産は全部お前にやる」と言われていたため、遺言なしで相続人は自分だけだと信じていました。
しかし、健一さんの死後に相続手続を進めようとしたところ、健一さんと春子さんは異父兄弟であることが判明し、さらに健一さんの父・一郎さんについて一切の情報がなかったため、相続人が不明確という重大な問題が浮上しました。
この想定外の状況に、春子さんは途方に暮れ、当事務所にご相談に来られました。
⚖ 当事務所の対応
① 戸籍の調査
まずは、健一さんの父・一郎さんについて情報を得るため、健一さんの生まれてから亡くなるまでの間の戸籍を取得しました。しかし、
- 健一さんの戸籍には一郎さんの名前・生年月日以外の情報が記載されておらず
- 役所に問い合わせても詳細情報は得られませんでした
健一さんの年齢からして、父親である一郎さんの推定年齢は100歳前後となるため、既に亡くなられている可能性が高いものの、記録上はこれを明らかにする方法がありませんでした。
② 銀行との協議
仮に一郎さんが生存していれば相続人となり、万が一亡くなっていてもその子(健一さんの兄弟)が相続人となる可能性がありました。
そこで、「一郎さんの生死が不確定なため、失踪宣告を行う予定」「健一さんに他に兄弟がいるかは不明だが、戸籍上調査のしようがないため、失踪宣告後は春子さんの単独相続を認めてほしい」と銀行と話し合い、方針を協議しました。
その結果、銀行からは
「家庭裁判所で一郎さんの失踪宣告が下りれば、春子さんの単独相続で手続きを進めてよい」
という合意を得られました。
③ 失踪宣告の申立
依頼者の聞き取りにより、当事務所は事実関係を整理し、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行いました。
家庭裁判所での調査官面談にも同席し、事実関係を詳細に伝え、失踪宣告が必要であることを説明しました。
その結果、健一さんの父・一郎さんについて失踪宣告が認められ、法的に死亡とみなされました。
最終的に、失踪宣告の判決書を銀行に提出し、春子さんが単独で相続手続きを完了することができました。
💡 解決結果|失踪宣告を経て相続手続きを完了
- 戸籍の不備がある中、失踪宣告という法的措置を的確に活用
- 一郎さんを法律上「死亡」と扱うことで、単独相続が認められた
- 長年介護してきた兄の財産を、春子さんが無事に受け継ぐことができた
💬 弁護士からのアドバイス
相続で戸籍に不備があったり、意外な相続人がいる疑いがある場合は、そのまま手続きを進めてはいけません。
一方、失踪宣告や金融機関との事前協議などの法的手段を用いることで、想定外の問題にも対応できる可能性があります。
また、健一さんのように「口頭だけで財産を約束」するのでは不十分です。
遺言書を残しておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことが非常に重要です。
📞 このような方はぜひご相談ください
- 相続人が誰か不明で戸籍調査が必要な方
- 戸籍に書かれていない親族がいる可能性がある方
- 生死不明の親族がいて相続ができない方
- 遺言なしで相続が始まりトラブルになりそうな方
当事務所では、相続に関する初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。