【ご相談事例】「私たちの死後、子供たちが揉めることだけは避けたい…」生前の不公平な援助を解消し、家族の絆を守る遺言書の作り方とは?

📄 ご相談の背景

大阪府にお住まいの山田様ご夫婦(仮名)が、深い悩みを抱えて当事務所にお越しになりました。「私たちが亡くなった後、財産のことで3人の子供たちが争う『争族』になってしまうことだけは、絶対に避けたいのです」。そう語るお二人の表情は、切実でした。

ご夫婦の不安の根源は、お子様それぞれへの生前の資金援助にありました。
事業を継ぐ長男様、独立した二男様、そしてご結婚された長女様。ご夫婦は、それぞれを想い、応援してきましたが、結果として長男様への事業資金の援助が多額になっていました。
これは、法的に「特別受益」とみなされる可能性があり、何の手当てもしなければ、将来の遺産分割で深刻な火種となりかねない状況でした。

「愛情をもってしてきた援助が、かえって子供たちの間の不公平感に繋がり、家族の絆を壊してしまうかもしれない…」。これまで大切に育んできた家族が、相続をきっかけにバラバラになってしまうことへの恐怖が、お二人を苦しめていたのです。


💬 ご質問と弁護士の回答

質問1:「そもそも、法律で決まった分け方(法定相続分)があると思いますが、私たちの希望通りに財産の分け方を指定することはできるのでしょうか?」

回答:
はい、もちろんです。ご自身の財産を誰に、どのように遺すかは、遺言書を作成することで、法律で定められた相続分(法定相続分)よりも優先させ、ご自身の意思で自由に決めることができます。これを「遺言自由の原則」といいます。

山田様ご夫婦のように、お子様それぞれの事情を考慮して、「この子には少し多めに」「この子への生前の援助を考慮して」といった、ご自身の想いを反映した柔軟な財産分割を実現するためには、遺言書の作成が不可欠です。まずは、ご自身の意思で財産の行方を決められるという大原則をご理解いただき、ご安心ください。

質問2:「長男への多額の援助は、相続の際に法的にどのように扱われるのでしょうか?遺言で考慮したいのですが…。」

回答:
特定の相続人に対して行われた多額の事業資金の援助などは、「特別受益」として扱われる可能性があります。これは、遺産の前渡しとみなされるもので、相続の際にこの特別受益を考慮せずに遺産分割を行うと、他の相続人から「不公平だ」という主張が出て、紛争の原因となりがちです。

遺言書を作成する際に、この特別受益をどのように扱うかを明確に指定しておくことで、そうした紛争を未然に防ぐことができます。
ただし、「どの援助が特別受益にあたるのか」を法的に明確にし、他の相続人全員が納得できるような形で遺言に落とし込むには、専門的な知識が不可欠です。ご夫婦の想いを正確に反映させるためにも、弁護士にご相談いただくことが賢明です。

質問3:「遺言書を作成しても、後から子供たちに『無効だ』などと主張されないか心配です。一番確実で、私たちの想いも伝えられる方法はありますか?」

回答:
そのご不安を解消するために、お勧めするのが「公正証書遺言」の作成です。これは、公証役場で公証人が作成に関与し、証人2名の立会いのもとで作成される、最も証明力が高く、安全な遺言の形式です。原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。

また、遺言書には法的な効力を持つ事項とは別に、「付言事項」として、ご家族への感謝の気持ちや、なぜこのような遺産分割にしたのかという理由を、ご自身の言葉で書き残すことができます。これは、財産以上に大切な「想い」を伝えるメッセージとなり、ご家族が遺言の内容に心から納得し、円満な相続を実現するための大きな助けとなります。


📌 この事例のポイント整理

  • 特定の子供への多額の援助や生前贈与は「特別受益」とみなされ、相続トラブルの大きな原因となり得ます。
  • 遺言書を作成すれば、法定相続分に縛られず、ご自身の意思で自由に財産の分け方を指定できます。
  • 「公正証書遺言」を利用すれば、遺言の無効を主張されるリスクを最小限に抑えられます。
  • 遺言書の「付言事項」で家族への想いを伝えることで、財産だけでなく心を繋ぎ、円満な相続を後押しします。

📣 弁護士からのアドバイス:最高の「争族対策」は、元気なうちに想いを形にすること

相続が「争族」になってしまうケースの多くは、事前の準備不足が原因です。特に、お子様への生前の援助に差があるご家庭では、「言わなくても分かってくれるだろう」という期待が、後々大きな誤解や不満を生む火種となることが少なくありません。

大切なのは、財産をどう分けるかという「分割方法」と、なぜそう分けるのかという「理由や想い」の両方を、法的に有効かつ明確な形で残しておくことです。遺言書は、単なる財産の分配指示書ではありません。ご自身が人生をかけて築いた家族の絆を守るための「最後の手紙」であり、最高の贈り物なのです。

「うちはまだ先の話だから」「家族の仲は良いから大丈夫」と思わず、少しでもご不安な点があれば、ぜひお元気なうちに一度、専門家である弁護士にご相談ください。あなたのその想いを、私たちが法的な力で支え、確かな形にいたします。


🏢 遺言作成のご相談は、大東法律事務所へ

ご自身の亡き後、大切なご家族が財産のことで争うことほど、悲しいことはありません。
当事務所は、そのような事態を未然に防ぎ、あなたの想いを実現する「円満相続」の実現を全力でサポートいたします。

当事務所では、相続に関する初回のご相談は無料となっております。
相続でお悩みの方は、今すぐご相談ください。
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