【解決事例】熟慮期間経過後の相続放棄|疎遠だった夫の死後、約2000万円の借金が発覚したが、無事相続放棄が認められたケース

【解決事例】熟慮期間経過後の相続放棄|疎遠だった夫の死後、約2000万円の借金が発覚したが、無事相続放棄が認められたケース

本件は、死亡から3ヶ月の熟慮期間が過ぎた後に被相続人が多額の借金を負っていたことが判明し、相続放棄を行った事例です。被相続人が借金を負っていたことを知ることができなかった特別な事情を丁寧に主張することで、無事相続放棄が認められました。


🔍 依頼者の状況

  • ご相談者: 鈴木良子さん(仮名)、鈴木健一さん(仮名)
  • 相続関係: 被相続人(夫)、妻と子による相続
  • 主な争点: 熟慮期間(死亡を知ってから3ヶ月)経過後の相続放棄の可否

鈴木良子さん(妻)と健一さん(子)は、鈴木太郎さん(夫・父)と長年別居しており、生前の交流は年に数回食事をする程度でした 。 そのため、太郎さんの財産状況については全く知らされていませんでした 。

そんな中、太郎さんが亡くなられたとの連絡が入りました。

太郎さんの葬儀後、健一さんが遺品を整理しましたが、太郎さんが負債を負っていることをうかがわせる書類は何も発見されませんでした。また、 他の親族と連絡を取り合っても、太郎さんに債務があるとの話は一切出てきませんでした。

そのため、良子さんと健一さんは特に相続放棄の必要はないものと考え、手続きをしないまま3ヶ月が経過してしまいました。

しかしその後、突然、債権回収会社から約2000万円もの高額な借金の返済を求める通知書が届いたのです。 予期せぬ負債の存在を知り、良子さんと健一さんは大きなショックと不安を抱え、当事務所にご相談に来られました。


⚖ 当事務所の対応

突然の高額な借金の請求に動揺されているお二人の話を丁寧に伺い、相続放棄が認められる可能性が十分にあると判断し、迅速に対応しました。

① 詳細な事情の聴取と方針の決定

まず、弁護士は良子さんと健一さんから、太郎さんとの生前の関係性 、遺品整理の具体的な状況 、他の相続人とのやり取り 、そして借金が発覚した経緯について 、極めて詳細に聞き取りを行いました。

その結果、お二人には「相続財産(特に負債)の存在を認識することが著しく困難であった」という特別な事情があると判断し、相続放棄の熟慮期間の起算点を「借金の存在を現実に知った日」とすべきであると主張する方針を固めました 。

② 「特別な事情」を具体的に記載した上申書の作成

家庭裁判所に相続放棄を認めてもらうため、通常の申述書に加え、本件の特殊な事情を詳細に説明する「上申書」を作成・提出しました。

上申書には、

  • 長年の別居により、被相続人の生活状況や財産を全く知る由もなかったこと
  • 遺品整理の際も、借金に関する資料は一切発見されなかったこと
  • 郵便物の転送手続き後も、債権者からの督促状などが届くことはなかったこと
  • 債権回収会社からの通知書によって、初めて約2000万円という莫大な負債の存在を知ったこと

といった客観的な事実を時系列に沿って具体的に記述し、「熟慮期間の起算日は、債権回収会社からの通知を受け取った日と解釈されるべきである」と法的に主張しました 。

③ 家庭裁判所への申述と受理

作成した相続放棄申述書と上申書を、速やかに管轄の家庭裁判所に提出しました。
当事務所の主張が認められ、良子さんと健一さんの相続放棄の申述は無事に受理されました。


💡 解決結果

当事務所の主張が全面的に認められ、家庭裁判所は良子さんと健一さんの相続放棄の申述を受理しました。

これにより、良子さんと健一さんは、被相続人が遺した約2000万円もの高額な借金を一切支払う義務がなくなりました


💬 弁護士からのアドバイス

相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。これを「熟慮期間」といいます。

しかし、今回のケースのように、被相続人と疎遠であったために財産状況を全く知らず、相続財産の調査を尽くしてもなお債務の存在を認識できなかったような「特別な事情」がある場合には、死亡の事実を知ってから3ヶ月が経過していても、相続放棄が認められる可能性があります。その場合、熟慮期間は「相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時」から起算される、というのが判例の考え方です。

重要なのは、「知らなかった」とただ主張するのではなく、「なぜ知ることができなかったのか」を、客観的な証拠に基づいて具体的に、かつ説得的に裁判所に説明することです。遺品整理の状況や生前の関係性などを詳細に主張する必要があります。

熟慮期間が過ぎてしまったと諦めてしまう前に、まずは一度、相続問題に詳しい弁護士にご相談ください。ご自身のケースが「特別な事情」にあたるかどうかを法的な観点から的確に判断し、最善の解決策をご提案いたします。


📞 このような方はぜひご相談ください

  • 亡くなった親族の死後3ヶ月以上経ってから、金融機関や債権回収会社から借金の督促状が届いた方
  • 遺産分割協議を進めていたら、後から高額な負債があることが判明した方
  • 疎遠だった親族が亡くなり、財産状況が全く分からず困っている方
  • 相続財産の調査を自分で行ったが、借金があるのかないのかはっきりせず、相続放棄をすべきか判断に迷っている方

当事務所では、相続放棄に関する初回のご相談は無料となっております。
相続放棄でお悩みの方は、今すぐご相談ください。

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