【ご相談事例】「全財産を兄に」という遺言が…兄が遺産を教えてくれない場合の対処法は?

📄 ご相談の背景

ご相談者は、和子さん(60代・女性)です。 数か月前、資産家であったお父様が亡くなりました。お母様は既に他界されており、相続人は和子さんとお兄様(雄二さん)の2人だけです。

お父様は不動産や預貯金、株式などを多く所有していましたが、和子さんはその詳細を把握していませんでした。 葬儀などが落ち着き、遺産整理を始めようとした矢先、衝撃の事実が判明します。お父様が「全財産を兄雄二さんに相続させる」という内容の公正証書遺言を残しており、さらに雄二さんを遺言執行者に指定していたのです。

生前、多少の疎遠さはあったものの、兄妹仲は決して悪くなかったはずでした。和子さんは、せめてどのような遺産があるのかだけでも知りたいと雄二さんに連絡を取りましたが、電話にも出ず、手紙にも一切返事がありません。

「父はなぜこんな遺言を…」「兄はなぜ、何も教えてくれないの…」

お父様に裏切られたような深い悲しみと、信頼していたお兄様への不信感、そして「自分は本当に1円ももらえないのだろうか」という将来への強い不安に苛まれ、和子さんは当事務所の扉を叩かれました。


💬 ご質問と弁護士の回答

質問1:「『全財産を兄に』という遺言がある以上、私は父の遺産を一切受け取れないのでしょうか?」

回答: まずご安心ください。たとえ「全財産を兄に」という遺言があったとしても、和子さんが遺産を一切受け取れないわけではありません。

和子さんには「遺留分(いりゅうぶん)」という、法律によって最低限保障された遺産の取り分を受け取る権利があります。

今回、相続人は和子さんとお兄様の2人だけですので、和子さんの法定相続分は本来2分の1です。遺留分は、その法定相続分のさらに半分、つまり全遺産の4分の1となります。 したがって、和子さんはお兄様に対し、この「4分の1」に相当する金額を金銭で支払うよう請求することができます。


質問2:「兄が遺言執行者なのに、遺産の内容を全く教えてくれません。どうすれば遺産全体を把握できるのでしょうか?」

回答: お兄様は遺言執行者として、相続財産の目録を作成し、相続人である和子さんに開示する法的な義務を負っています。和子さんからの連絡を無視し、情報を開示しないのは、その義務を果たしていない可能性が極めて高いです。

お兄様が協力してくれない場合でも、弁護士が介入すれば、法的な手段で遺産を調査することが可能です。

具体的には、お父様名義の不動産を調査(名寄せ帳の取得)したり、お父様が利用していた可能性のある金融機関や証券会社に対して、取引履歴や死亡時点での残高を照会したりすることができます。 相手が意図的に情報を隠している場合でも、このように客観的な証拠を集め、遺産の全体像を把握することが、正当な権利(遺留分)を主張するための第一歩となります。


質問3:「遺留分を主張したい場合、具体的に何をすればよいですか?兄が話し合いに応じない場合はどうなりますか?」

回答: 遺留分を請求する権利のことを「遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅうけん)」と呼びます。

まず、内容証明郵便など、証拠が残る形で、お兄様に対して「遺留分を請求する」という意思表示を明確に行う必要があります。

非常に重要なことですが、この遺留分の請求は、ご自身が相続の開始と遺留分を侵害する遺言の存在を知った時から1年以内に行わなければ、時効によって権利が消滅してしまいます。和子さんの場合、一刻も早い対応が必要です。

意思表示をした上で、お兄様と遺産の評価額や支払い方法について交渉します。 もしお兄様が話し合いに応じない場合や、提示された金額に納得できない場合は、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求調停」を申し立て、法的な場で話し合いを進めることになります。調停でも話がまとまらなければ、最終的には訴訟(裁判)で解決を図ることになります。


📌 この事例のポイント整理

  • 「全財産を特定の相続人に」という遺言があっても、他の相続人には最低限の取り分である「遺留分」を請求する権利があります。
  • 遺言執行者(今回の場合はお兄様)は、他の相続人に対して誠実に遺産の内容を開示する義務を負います。
  • 遺留分の請求は、権利を知った時から1年以内に行わないと時効で消滅してしまうため、迅速な対応が不可欠です。
  • 相手が遺産の内容を開示しなくても、弁護士を通じて不動産や預貯金などを法的に調査し、遺産の全体像を把握することが可能です。

📣 弁護士からのアドバイス:「遺留分」には1年のタイムリMットがあります

ご家族が亡くなられた悲しみの中で、信頼していた他の相続人から非協力的な態度を取られ、深く傷ついている方は少なくありません。

特に今回のように、相手が「遺言執行者」という強い立場にある場合、「遺言があるのだから仕方ない」と諦めてしまったり、どうして良いか分からず時間が過ぎてしまったりしがちです。

しかし、遺留分の請求には「1年」という非常に短い時効(タイムリミット)が設けられています。 相手が意図的に情報開示を拒否し、手続きを遅らせている間に、この1年が経過してしまえば、和子さんは本来受け取れるはずだった権利をすべて失ってしまうところでした。

「兄と揉めたくない」というお気持ちも分かりますが、ご自身の正当な権利を守るためには、法的な知識と迅速な行動が不可欠です。ご家族間の問題だからこそ、感情的な対立を避けるためにも、冷静な第三者である弁護士を間に立てて交渉を進めることが、最終的には円満な解決への近道となる場合も多いのです。


🏢 相続のご相談は、大東法律事務所へ

「遺言の内容に納得がいかない」「他の相続人が遺産を教えてくれない」「遺留分を請求したいが期限が迫っているかもしれない」…相続の問題は、ご家族間の感情的な対立も絡み、非常に複雑化しやすい問題です。

お一人で悩みを抱え込まず、取り返しのつかない事態になる前に、まずは相続問題に精通した弁護士にご相談ください。大東法律事務所は、あなたの正当な権利を守るため、法的な側面から全力でサポートいたします。

当事務所では、相続に関する初回のご相談は無料となっております。 相続でお悩みの方は、今すぐご相談ください。

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