遺留分とは、一定の相続人に認められた、最低限受け取れる遺産の取り分のことを指します。
例えば遺言などで遺産を特定の相続人に偏った配分で相続させたいと指定されていた場合、他の相続人が遺留分以下の金額、あるいは全く遺産を受け取れないという事態になり得ます。
このような場合、遺産を受け取れなかった相続人は、他の相続人などに対して「遺留分侵害額請求」をして侵害された遺留分を支払うよう請求することができます。
遺留分の問題が発生しそうな場合には、事前に専門家に相談することをおすすめします。
ここでは、実際によくある遺留分が問題となる事例について説明します。
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遺留分が問題となるケース
遺言書に指定された遺産配分が極端に偏っている
遺留分が問題となるケースで最も多いのが、偏った内容の遺言が発見されるケースです。
例えば、「長男1人に、全ての財産を相続させる」という遺言などです。
特定の相続人に多くの財産を相続させたいと考えて、このような内容の遺言が作成されることは珍しいことではありません。
しかし、本来相続できるはずであった他の相続人の方は、不満を持つことになるでしょう。
他の相続人の方、最低限度の遺産の取り分を確保しようと考え、多くの財産を取得した相続人に対して遺留分を請求することになります。
財産の全てを一人に相続させるという内容でなくても、極端に額面に偏りがあればトラブル化する可能性は高くなります。
一部の相続人に多額の生前贈与がなされていた
一部の相続人だけが被相続人から生前贈与などを受けていた場合も、遺留分の問題が発生する恐れがあります。
生前贈与とは、被相続人が生きている間に自身の財産を他人に贈与することをいいます。
このような生前贈与は、「特別受益」として相続財産の計算対象となることがあります。
一部の相続人だけが特別に被相続人から利益を得ている場合、これを特別受益として遺産に加算したうえで、各相続人の具体的相続分や遺留分の算定を行います。これを「特別受益の持ち戻し」といいます。
一部の相続人に対する生前贈与の額が特に大きい場合、特別受益の持ち戻しを行って遺産全体として考えると、生前贈与によって他の相続人の遺留分が侵害されることになる可能性があります。
このような場合には、生前贈与を受けた相続人に対して他の相続人から遺留分の請求がされる可能性があります。
相続人以外の第三者に対して生前贈与や遺贈が行われた
遺留分が問題となるのは、特定の相続人に対して偏った配分の相続や生前贈与がされた場合に限りません。
相続人以外の第三者に対して生前贈与や遺贈が行われた結果、本来相続人が相続できるはずであった財産が大幅に減り、遺留分の額を下回ってしまった場合にも遺留分が問題となります。
この場合も、相続人は贈与等を受けた第三者に対して遺留分を請求することが出来ます。
遺留分トラブルは弁護士にご相談ください
遺言や生前贈与のために相続できた遺産が少なかった場合には、遺留分の請求が出来る可能性があります。
弁護士にご相談いただくことで、遺留分が侵害されているのか、遺留分を請求できるのかの目処を立てることが出来ます。
また、実際に遺留分を請求する場合も、遺留分侵害額の計算や、実際の遺留分侵害額請求の手続きは、弁護士にご依頼いただくのがスムーズです。
遺留分の侵害が疑われる場合、遺留分を請求したい場合には、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。