生命保険金の受け取りは、ご家族の方が亡くなった際の重要な手続きの一つです。
亡くなられた方の保険の加入状況について把握できている場合は問題ありませんが、生命保険に加入しているか分からない場合には、保険契約の調査が問題となります。
また、ご相談者の中には、生命保険金を受け取ったことを理由に、他の相続人から遺産の分配を減らすようにと主張された方もいらっしゃいます。
ここでは、生命保険金受取の手続や、生命保険金と相続との関係についてご説明します。
このページの目次
生命保険金受取の手続き
ご家族が亡くなって相続が発生し、生命保険金を受け取りたい場合は、
- 保険契約の確認
- 請求に必要な書類の収集
- 保険会社へ請求
の順に手続きをしていきます。
1 保険契約の確認
まず、被相続人(亡くなった方)が加入していた生命保険の保険証券を確認します。保険証券には、契約者や、被保険者、受取人などの情報が記載されています。それぞれについて誰が該当するかを確認しておきましょう。
もし保険証券が見つからない場合は、被相続人宛の郵便物を確認してみてください。保険会社が定期的に契約内容のお知らせ等の書類を郵送していることがあります。
保険証券やお知らせなどの書類も一切見つからず、被相続人が保険に加入しているかどうかすら分からない場合は、「生命保険契約照会制度」というものを活用することもできますので、ご検討ください。
「生命保険契約照会制度」とは、生命保険の契約者または被保険者が死亡あるいは認知能力が低下した場合に、生命保険協会に対して、契約の有無を照会できる制度です。
2 請求に必要な書類の収集
保険契約の確認が取れたら、保険会社に連絡して保険金請求の手続きに必要な書類を確認します。
保険会社や契約内容によって求められる書類は異なりますが、一般的には
- 保険証券
- 保険会社が指定した支払請求書
- 被保険者の除籍謄本あるいは住民票
- 死亡診断書
- 受取人の本人確認書類
などが求められることが多いです。
3 保険会社へ請求
必要な書類が集まったら、実際に保険会社へ請求を行いましょう。書類を受け取った保険会社が審査を行い、通れば受取人の口座に生命保険金が振り込まれます。
生命保険金と相続
受取人が得る生命保険金は、受取人固有の財産とされますので、遺産分割対象の相続財産とは当たりません。
受取人は、生命保険金を受け取った上で、さらに相続財産の法定相続分を受け取ることができます。
生命保険金と特別受益
もっとも、保険金が高額であまりに不公平な場合は、生命保険金が特別受益とみなされることがあります。
特別受益とは、一部の相続人が被相続人から遺贈や生前贈与などで受けた特別な利益を指します。仮に死亡保険金が特別受益と認められた場合は、その額を考慮して遺産分割協議を進めることになります。
生命保険金が特別受益にあたるかどうかは、遺産の額と保険金額の比率や、被相続人と受取人との生前の関係なども考慮して定められます。
自分が受け取る生命保険金が、特別受益にあたるか不安を感じておられる方は、弁護士へご相談ください。
相続における生命保険金受け取りについてもご相談ください
相続に詳しい弁護士にご相談いただければ、生命保険金の受け取りが遺産分割で不利にならないようアドバイスできますし、場合によっては亡くなられた方が生命保険に加入されていたか調査することも可能です。
相続は、相続人の心身に大きな負担がかかります。弁護士にご依頼いただければその負担を軽減することができます。どうぞお気軽にご相談ください。